行政書士 労働相談長山オフィス

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退職勧奨・強要

退職勧奨とは、使用者が労働者に対して、労働契約の合意解約の申し込みや誘引することを言います。

このうち、使用者の申し込みや誘引が社会通念上の限度を超えた場合を退職強要と言います。

つまり退職勧奨は、使用者から労働者への合意退職のお願いにあたりますのでこれに応じるか否は労働者の自由です。

退職する意思がなければはっきりと拒否をしましょう。

拒否しずらい場合は、「このような大事なことはすぐこの場では決められませんので家族等に相談します」等と言ってその場での回答は避けて下さい。

絶対に根負けして退職届やその他会社が用意した書面に署名をしてはいけません。

 
退職を拒否したのに退職勧奨(強要)が続く場合

内容証明郵便(配達証明付き)で勧奨・強要を止めるよう通告するという方法があります。

「内容証明とは大袈裟では」と思われるかもしれませんが会社に対して書面による申立てをすることで初めて会社が勧奨・強要の事実を認識し、止めさせることもあります。

また配達証明付きとしているのは、後に会社がそのような書面を受け取っていないとの主張をさせないためです。

すでに退職届を出してしまった場合

会社からの執拗な退職勧奨・強要に対して退職届を提出してしまった場合は、直ちに撤回をして下さい。

もし会社が撤回を認めない場合は、退職の意思表示に錯誤(民法95条)や詐欺・強迫(民法96条)があったとして無効・取消の主張をすることも可能です。

また会社から一方的に退職を勧奨(強要)されている状況での退職の同意は、意思を抑圧された状態にあったといえるケースも多くあります。

そのような場合は、退職の同意は自由な意思に基づくものではなかったとして同意の効力を否定することも可能です。

退職強要に関する裁判例

全日本空輸事件 大阪地裁平成11.10.18

■事案の概要

XはY社において客室乗務員として勤務していたところ、平成3年に乗務のために乗車したY社手配の送迎タクシーで交通事故に遭遇した。

 

 

  • 平成5年10月には、症状固定と診断され、休業給付は打ち切られたものの、その後も背部の痛みが回復しないとし、「背部痛」との診断書をY社に提出し、有給休暇を取得した後、1年間の病気欠勤となった。
  • 平成7年3月にXの主治医から「最近の検査では明らかな異常は認められず、活動量を徐々に増やしていけば、仕事への復帰は充分に可能」との連絡を受けたためY社はXの復職がありうると判断し、Xに復職に向けた働きかけを行った。しかしXの姿勢は消極的だった。
  • Y社は、Xの客室乗務員としての知識、能力に疑念を抱き、復職、客室乗務員復帰のため必要となる訓練試験の実施を見送った。
  • その後、Xの主治医から5月末までの休業が必要との診断書と6月1日より就業可能との診断書が提出された。
  • Y社は、Xに対し復職に向けた「知識テスト」等を行ったがその結果が芳しくなかった。Y社のA、B、CはXと面談し、以下のとおり述べた。 「CAとして適正を欠いてる。これまで準備時間は十分にあり、その結果がこれであるとすれば、これまで同様ただ頑張りたいとの言葉だけではXを信用できない。」
  • またY社のB、C、DはXの入寮する社員寮に赴き、以下のとおり述べて、Xに退職を求めた。 「CAとしての状況をオッケーといえない。」「質問してもほとんど答えない。表情とかみているとCAにむいていない。」「こういう状態ではエマ訓(注:訓練試験の一つ)なんかない。東京でエマ訓なんかしてくれる人はいない。」「旅客がYから離れていく。そんな人が乗務してたら。」「口で今後やっていきますと言うのは他のCAに対して失礼。」「別の道を考えるべき。」。
  • その後も、会社において長時間にわたり上司らが「普通は辞表を出すものよ。」「組織の外でわがままをいって欲しい。」と述べたり、寮に訪れ「別の道を考えては。」などとXに退職するよう求める行為を繰り返した。Xは一貫して復帰訓練を行うよう求めた。
  • さらにY社の上司らはXの兄などと面談し、「退職するように説得して欲しい。」等と告げた。
  • Xは、平成7月6日付けでいったん復職し、2日間、復帰者訓練等を受講したが不合格となった。同月7日、職場事務所において約4時間ほど、管理職ら3名がXに対し「決断するとき。」「会社はだまされた。」「会社としては完璧でないものは乗せられない。」「ふつうその段階でやめていくもの。」等と述べましたが、Xはもう1度訓練を受けさせて欲しいと答えた。同月9日には、約8時間にわたって上司との面談が続き、早く結論を出すように言われた。
  • さらに上司らはXにレポート、反省文の作成・訂正を求め、その最中に「CAとしては無理。」「寄生虫みたいだ。」等と発言をしたり、サービス接遇等の指導に際し、「新入生以下のレベル。」「アナウンスチェックがだめなら辞表を出すように。」等と告げた。
  • Xは8月1日、2日に2回目の復帰者訓練を行ったが不合格となり、8月中旬まで管理職らとの面談が続いたが、その際「やめる道を選べないのか。」と告げられた。
  • また管理職らはXの実家に出向き、両親に対し「家族も諜功して辞めさせて欲しい」等と話をした。
  • 10月に3回目の復帰訓練を受講したが、再度不合格となった。判定に不服のXは、Y社に説明を求めたところ、なかなか応じてもらえず、12月7日になって結果の内容が伝えられ、平成8年1月24日に2月29日付けで解雇とする旨の通告を受けた。

これに対し、Xは雇用契約上の地位確認請求を行うとともに、Y社による解雇及び退職強要がYの人格権を侵害する不法行為に該当するとし、これに基づく損害賠償請求を提起した。

 

■判決内容

Y社のXに対する損害賠償

  • Xに対する、Y社の対応はその頻度、各面談の時間の長さ、言動は、社会通念上許容しうる範囲をこえており、単なる退職勧奨とはいえず、違法な退職強要として不法行為にあたる。
  • 他方、Xは都合の悪いことは沈黙し、煮え切らない態度をとったことがY社の担当者の言動を誘発したこと、退職強要を受けていた間弁護士がついていたことなどを考慮する必要がある。
  • Y社の退職強要によりXが受けた精神的損害に対する慰謝料としては、50万円が相当である。

■本判決の特徴

 退職勧奨は、退職の勧奨であり解雇ではないため退職勧奨自体で会社が従業員に損害賠償責任を負うものではありません。

しかしその目的・態様によっては、違法性を帯び、損害賠償責任が生じうることを示しています。

他方、労働者側の対応も当然考慮され、本判決のように慰謝料減額の要素となりますので会社との交渉にあたっては慎重な対応が必要です。

参照:厚生労働省「あかるい職場応援団」

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